日本の牛乳は、7世紀中ごろに、帰化人善那(ゼンナ)が孝徳天皇に献上して、大和薬使主(ヤマトクスシノオミ)の姓(カバネ)を賜わったとの記録が残されています。
 当時、主に貴族の間で飲用されていましたが、薬用として考えられ大切にされていたようです。ところが、戦乱や仏教の影響等もあって広く普及するには至りませんでした。
 江戸時代に入って徳川8代将軍の吉宗が、房州の嶺岡に白牛を放牧したのが、酪農の先駆けとも言われています。
 さらに時代が進み、1853年に黒船が来航し、西洋文明に触れることにより、新しい生活習慣がもたらされ、牛乳を滋養強壮の糧とする考えが一般庶民の間に芽生え始めました。この頃、日本の飲用牛乳の開祖と称される房州生まれの前田留吉が、幕末の文久3年(1863年)横浜で牛乳量販店を開いて牛乳を販売しました。
 以来、牛乳店を開店するものが相次ぎ、牛乳は急速に一般庶民の間で飲用されるようになってきました。
 特に、第二次大戦後は、学校給食の広がり、洋風の食生活の進展などから消費量はめざましい増加をたどってきました。今日のように牛乳が、多くの人々に手軽に飲用されるようになったのは最近のことです。
 飲用牛乳の種類は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で定められています。平成15年7月の改正で、下記の7種類になっています。
 牛乳と名がつくのは、「牛乳」「特別牛乳」「成分調整牛乳」「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」の5種類で、そのほか、「加工乳」と「乳飲料」があります。
 これらの種類別名称は、一括表示欄や商品名の近くに表示されています。
★5種類の牛乳
★加工乳
乳等省令で定められた乳製品の一部とは?
 全粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、クリーム、並びに添加物を使用していないバター、バターオイル、バターミルク及びバターミルクパウダーの11品目。

★乳飲料
切欠き
 牛乳パックの上部の「へこみ(切欠き)」は、種類別牛乳とわかる印です。
 お年寄り、お子様、目の不自由な方など生活にハンデキャップのある方々が共生できるバリアーフリー「やさしい地域社会づくり」の一環として、種類別牛乳の紙パック(500ml以上の屋根型容器のみ)に切欠きをつけています。