<はじめに>
 県西地域は、『常陸牛』の生産が盛んな地域でありますが、素牛のほとんどが県外からの導入に依存しております。一方では、県内和牛子牛農家の高齢化や最近の価格下落により、子牛の生産頭数の減少が懸念されていること等から、近年では、肥育農家自らが子牛の生産と肉牛の肥育を行う一貫経営が増えてきています。
 しかし、肥育農家自らが繁殖を行うには、技術の習得が必要なこと。また、増頭に伴う飼養場所や飼料の確保など、生産基盤を支える体制が整備されていない等の課題があります。
 そのため、県西地域における繁殖基盤拡大に向けた取り組みを始めています。今回は、「県西地域常陸牛繁殖基盤拡大推進事業」を活用したそれらの取り組みをご紹介します。

<県西地域和牛繁殖雌牛増頭協議会の設立>
 平成20年6月に「県西地域和牛繁殖雌牛増頭協議会(構成:県西地方総合事務所農林課、県西家畜保健衛生所、各地域農業改良普及センター、各市町、各農業協同組合)」を設立し、推進体制等スケジュールを検討し、技術研修会等を開催しました。


○ 和牛登記・審査委員認定講習会開催
 まず和牛としての第一歩は、子牛登記を行うことに始まります。しかしながら、当地域では、子牛登記や母牛の登録を行う審査員がいないため、審査員を育成しなければなりません。 
このため、円滑な登記登録体制整備の足がかりとして、8月8日、全国和牛登録協会茨城県支部主催により、和牛登記・審査委員認定講習会が開催され、茨城県畜産センターにおける子牛登記についての講義と、石岡市の竹林牧場において鼻紋採取と、登録審査の実習諮問等が行われました。
 当該地域からは、指導機関として、各農協等職員6名が受講し、審査員としての人材育成を行いました。

○ 登記実務研修会の実施
 11月20日には、佐藤牧場(常総市菅生)で、全和県支部の子牛登記実務に併せ、鼻紋採取と子牛の審査についての研修を行いました。今後、随時、登記に関する技術習得に向けた研修を随時行っていく予定です。

○ 和牛技術研修会の開催
 12月6日、八千代町において、「肥育技術(血統)」「繁殖・哺育」に係わる研修会を和牛繁殖農家、肥育農家、酪農家と農協の担当者を対象として開催しました。茨城県畜産農業協同組合連合会の中川氏、全農中央研究所の西尾氏に講師を依頼し、講演をしていただきました。

<今後について>
 耕作放棄地や水田を活用した『水田放牧推進事業』等の有効活用により経営規模拡大が進みつつあります。今後は、面の広がりとなるよう推進するために、指導体制等強化への支援を行い、常陸牛の地域一貫経営に向けた子牛生産の拡大を目指してまいります。