遊休農地の解消と繁殖和牛の増頭のため,県では5年前から肉用牛研究所と普及センターが連携して,遊休農地への繁殖和牛の放牧を進めており,県北山間地を中心に,現在の取り組み面積は約40haまで伸びてきています。
  常総市大生郷町の遊休農地放牧は,平成18年年6月1haに3頭の放牧から始まり,現在では遊休農地,水田放牧合わせて7.7haに31頭が放牧され,規模・頭数共に拡大してきました。当地域での取り組みは,平場地域では初めてであり,また,飼料イネ等を利用した水田放牧を新しく取り入れています。
  そこで,放牧地近隣の地域住民にあらためて放牧について理解を深めてもらおうと,7月21日(土)に常総市大生郷町下新田集落センターで放牧現地説明会と親睦会を開催しました。
  主催は,放牧取り組み農家(常陸牛生産牧場 佐藤氏,菅原農園 菅谷氏),(独)中央農業総合研究センター,結城地域農業改良普及センターで,当日は小雨模様でしたが,下新田集落の地元住民約150名が参加しました。
  はじめに,牛が放牧されている牧区を参加者に見て貰いながら,(独)中央農業総合研究センター千田上席研究員が,フィールドトリップクイズラリー形式で問題を出題し,牛や放牧について知って貰いました。内容は,放牧の目的やメリット,放牧牛の概要,牛の餌になる野草の種類,飼料稲,電気牧柵についてで,解答の後参加者に分かりやすく説明を行いました。
  参加者の目前で牛を誘導して転牧する様子や,体の大きな牛が舌を使って野草を食べる様子を目の当たりにして,参加した大人や子供達は興味津々な様子で興奮気味でした。放牧の意義についての説明には,大きくうなずく参加者も見られました。
  その後,集落センターに移動して,常陸牛の焼き肉を住民の方々に試食して貰い,常陸牛に対する理解を深めるとともに,農家と地域住民との親睦を図りました。会場準備やおにぎりづくり,野菜等食材の提供は,下新田集落の区長さんはじめ地元有志の協力を得て行いました。
  焼き肉を食べながらの親睦会は盛況で,地元の区長さんや地域住民からは,来年も開催して欲しいとの要望が出されました。
  地域で遊休農地放牧の取り組みを進めるには,地元住民の理解が不可欠です。また,これからの遊休農地放牧は個人だけの取り組みではなく,地域・集落で遊休農地及び放牧牛を管理していこうという体制づくりをしていくことが重要と思われます。