5月10日と11日の両日に東京都大手町サンケイビルに於いて、「ニッポンやきとり祭り」がキリンビール株式会社主催、JA全農と日本食鳥協会の後援で、ビールと相性のよい“やきとり”を提供することにより、国産鶏肉の需要拡大と地域の活性化を図ることを目的に、開催されました。本県からは「奥久慈しゃも」と「筑波地鶏」が出展しており、地鶏は茨城県の2種を含めて全部で18種、銘柄鶏は10種の計28種の焼き鳥が味わえるビックイベントでした。宮崎県の東国原知事がPRして話題となっている「みやざき地頭鶏」も出ていましたが、「比内地鶏」や「純系名古屋コーチン」と同じくらいに長蛇の列ができていました。なお、日本食鳥協会の発行している「国産銘柄鶏ガイドブック」には地鶏71種、銘柄鶏117種が採録されていますが、今回はこのガイドブックに載っていない銘柄鶏が2種ありました。
 会場では28のブースがずらりと並び、時間が午後5時からということで、主催者の狙いどおりジョッキ片手に焼き鳥を頬張る人たちで大賑わいでした。特に6時ころからは勤め帰りの人たちがドッとおしかけ、人気ブースは押すな押すなの大盛況でしたが、有名でないところには人があまり寄り付かず、はっきりと差がでました。
表1

 さて、折角のチャンスなのでできるだけ多くの種類を味わいたいと思いましたが、当日の焼き鳥は1串40gで、普通より大きめです。全種類を味わうのはとても無理なので、一応10種類を目標にしました。表1がその10種です。これに加えて、会場で11.「神那鶏」(栃木−銘柄鶏)を食べるはめになりました。
 銘柄鶏からは、この「神那鶏」と「美味鳥」を選びました。他は全て地鶏です。茨城県産の2種は当然入れましたし、「比内地鶏」、「純系名古屋コーチン」及び「さつま若しゃも」の3銘柄もぜひ味わってみたいと思っておりました。それと組合せの面白い「駿河若しゃも」、最近羽数を伸ばしている「大和肉鶏」、地鶏生産量ナンバーワンの「阿波尾鶏」、今話題の「みやざき地頭鶏」を選びました。最終的には11種、14本を味わいました。さて、肝心の味はというと解凍が悪く水っぽい、焼き過ぎ、冷めている、塩が多すぎ等で味がよく分らないものがあって残念でした。

 本県の「奥久慈しゃも」は繊維が細く、噛んで最後まで旨味があり、脂が少なめでその質も良く上品な味でした。最初と最後に食べましたが、いくらでも食べられそうな感じでした。やはり一流だと思います。(手前味噌と思われるかも知れませんが)。会場で硬いと言う声が聞こえましたが、食べ慣れないと、本当の味が判りづらい面があるかも知れません。通の味と言うべきでしょう。「筑波地鶏」はクセの無い味で、硬さは適度且つジューシーで、一口に言えばヘルシーな感じの食べ易い鶏でした。生産量の多い「阿波尾鶏」や「大和肉鶏」にも負けていない、と感じました。「阿波尾鶏」はやや冷めていてよく判りませんでしたが、繊維は細かい感じでした。「大和肉鶏」は良い味でしたが、脂にやや難があるように思いました。「駿河若しゃも」は種鶏の組合せが非常に複雑なので、どんな味がするか楽しみでしたが、塩が多すぎてよく判りませんでした。ただし、お茶の粉末をトッピングしているのは、好評のようでした。「みやざき地頭鶏」は、その焼き方により焙り臭かったものの、「筑波地鶏」と似たような食感でした。「比内地鶏」、「純系名古屋コーチン」、「さつま若しゃも」はそれぞれ前に書いたような扱いの難があり、本当のところは判りませんでした。また、銘柄鶏では、一方はクセがなく爽やかな味でしたが、他方は脂が多くその質もよくないので口の中がベトベトしました。
 このように食べ比べてみると、本県のどちらの鶏もその実力からまだまだ生産が伸びてもよいと思いますが、会場での行列の出来方を見ると、知名度は決して高いとは言い難く、新しい「筑波地鶏」は兎も角として、「奥久慈しゃも」も意外に知られていないようでした。今後は、PRの方法も工夫する必要があると、痛感した次第です。
 7時を過ぎると、身動きもままならない程の人込みとなり、腹も苦しくなってきたので会場を後にしました。これからも是非、開催してもらいたいイベントでした。