当管内の農業産出額は1068億円と県全体の約26%のシェアがあり、畜産の産出額は40%を占める基幹部門と重要な位置にあります。また、畜産分野から見ても肉用牛や乳用牛生産を中心に県産出額の39%を占める主産地として重要な地域でもあります。 
 現在、本県では茨城農業改革を進めており、畜産分野では銘柄畜産物のブランド力向上を中心とした対策を進めております。当管内でも消費者や実需者から評価の高い「奥久慈しゃも」や「常陸牛」の生産力の拡充を目指し、農業改革を推進しているところです。しかし、管内での畜産振興を図っていく上で、@産地間競争を勝ち抜く品質・量・規格を備えた生産基盤と販売力の強化。A土地基盤・粗飼料基盤に立脚した大家畜経営の育成・強化。B地域の環境に配慮した環境保全型畜産経営の確立等が課題となっております。なお、生産情報の記録化と情報公開は、消費者の方々からの信頼に得る必須のアイテムとなっていることは申すまでもありません。課題の中でも、生産基盤と販売力強化が最重要課題であると考えております。特に、牛肉生産(常陸牛)においては、肥育素牛生産基盤の増強が全国的な課題ともなっており、繁殖牛や和牛子牛の増頭を図る各種事業を積極的に活用するとともに、頭数増加に伴う施設増強や労働強化の対応策として、遊休農地や公共育成牧場を活用した放牧等により省力化や軽労化を同時に進めていくことが望まれております。
 これら資源の活用は飼料自給率の向上にもつながり、畜産経営の安定には欠かせないものと考えております。
 最後に、消費者のベストパートナーとしての県北畜産を目指し、職員が一体となり取組む所存でございますので、関係者の皆様方にはご指導・ご協力を賜りますようお願い申し上げ、就任のご挨拶といたします。



 この度、鹿行家畜保健衛生所長を拝命いたしました。微力ながら鹿行地域の家畜保健衛生対策の推進に努力してまいりますのでよろしくお願い申し上げます。
 鹿行家保での勤務は31年ぶりになります。この間の鹿行地域の発展はめざましく広大で平坦な農地を利用した畑作・畜産を中心とする農業地帯が形成される一方、鹿島港を中心とした鹿島臨海工業地帯は一大産業拠点として大きく成長しています。そうした中、当地域では市町村合併の進展に伴い、当時12町村あった市町村は平成17年度までに5市に再編され、新たな地域づくりに向けた動きが活発化の様相を示して来ています。
 鹿行地域の畜産業は鹿島飼料コンビナートや首都圏という有利な条件を背景として順調に発展を続けております。特に養豚部門は鉾田市を中心に、県内農業産出額の38.8%を占めており、大規模生産者が多い県内有数の生産地帯となっています。
 一方で家畜衛生を取り巻く状況も著しく変化して来ています。家畜は改良が進んで生産能力は向上したものの、家畜が本来持っている生理機能はほとんど変わっていないため、規模拡大による飼養環境の変化などの影響を受けて、各種の複合疾病が発生し経営に大きな被害を与えています。
 また、畜産物等の国際的な流通速度が非常に速いこと等から、各種の病原体が遠距離まで運ばれる可能性が大きくなり、新たな海外の悪性伝染病の発生が心配されており、家畜衛生の最前線にいる家畜保健衛生所としては、緊張感を解くわけにはいかない状況におかれています。
 これに加えて、消費者の食の安全・安心に対する要望は高くなっており、生産現場における家畜衛生問題にも感心が持たれるようになっています。このため家畜保健衛生所が活躍しなければならない場は増えており、量的な面ばかりでなく質的な面でも領域が拡大してきています。
 このような状況を踏まえて、鹿行地域の最大の特徴である養豚産業に対しては、大規模生産者を中心に地域や生産者自らが取り組む、家畜伝染性疾病の自主的な防疫対策を支援するとともに、農場における生産衛生管理基準となる「畜産物生産ガイドライン」の普及・定着を図り、畜産物の安全な供給体制の確立を目指して前進していきたいと考えております。
 当所は少人数ではありますが、気軽に立ち寄って頂けるような雰囲気作りに努め、関係機関のご要望等に応えていけるように努力する所存ですので、引き続きご支援ご協力を賜ります様お願い申し上げます。



 この度の定期人事異動により県西家畜保健衛生所長を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。
 県西家畜保健衛生所には昭和55年以来2回目の勤務でございます。勤務当初は旧明野町村田に木造の事務所がありましたが、老朽化のため庁舎を移転することとなり現在地に新築完成まで1年半かかわりました。庁舎完成当時、周辺は平地林で囲まれ野鳥のさえずりが聞こえる閑静な環境でしたが、現在のように大きく変わるとは想像できませんでした。
 一昨年県内で発生した高病原性鳥インフルエンザ発生農場の多くが経営を再開し、鶏卵出荷も以
前の水準にもどりつつある中において、本年も宮崎県、岡山県での発生がありましたことから、発生予防のための検査、監視を引き続き行ってまいります。また、県内においても農家の経営規模が拡大していることから、家畜伝染性疾病の発生予防、まん延防止を推進するために関係機関、関係者との情報交換を図り、伝染性疾病の監視体制を一層強めて行くとともに、万が一の発生時には迅速な対応が図れるよう体制整備に努めてまいります。
 最後になりますが、家畜衛生の業をとおして畜産関係者のご要望に応えていけるよう努力する所存でございますので、なお一層のご指導、ご協力をお願いいたします。


 この度の定期人事異動により、茨城県畜産センター肉用牛研究所長を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。
 さて、最近の肉用牛に係る情勢は、枝肉価格、子牛価格とも比較的堅調に推移していますが、肉用牛子牛生産は減少しており、酪農分野からの肥育素牛供給も減少しているため、国産牛肉全体の生産量が減少傾向となっています。また、平成18年夏以降トウモロコシが、アメリカ国内で価格の高い石油の代替としてエタノール生産に仕向けられる量が増え暴騰しており、麦類の価格も高騰し配合飼料が大幅に値上がりしたため、肉用牛経営上の不安要因となっています。
 一方、本県銘柄牛である常陸牛については、関係者が一体となり広報・販売活動に取り組んだ結果、平成18年度には販売指定店が320店を、出荷頭数は3,700頭を超えるという成果があり、ブランド力が向上しています。アメリカでのBSE発生による牛肉輸入停止以降、消費者の食の安全に対する関心は非常に高まっています。生産者の皆様には銘柄確立のための飼養技術向上に励み、消費者へ常に安全でおいしい牛肉を届けられるよう、努力を続けていただきたいと考えています。
 このような情勢をふまえて当研究所では、@常陸牛生産に貢献する種雄牛づくり、A飼養管理と旨味成分の関連解析など、常陸牛のブランド力を高める調査研究、B肉用子牛のストレス低減や、放牧育成で肥育成績を向上させる試験、C新しい草種(センチピードグラス)を用いた放牧技術確立試験、D不受胎牛を買取り受胎させ、農家に払い下げる事業、E遊休農地に牛を放牧する技術を現地実証する事業、などに取り組んでいます。
 当研究所ではこれらの試験、事業を通じて本県における肉用子牛の生産増、自給飼料利用拡大による牛肉生産のコスト低減、常陸牛の銘柄確立に貢献していきたいと考えておりますので、関係各位のご支援・ご鞭撻をお願いいたします。


 この度の定期異動により、県南家畜保健衛生所長を命ぜられました。県南家畜保健衛生所の勤務は、平成9年以来10年ぶりになります。
 県南地域もつくばエキスプレスの開業により都市化が進み、畜産も混住の都市型畜産に変貌を遂げつつあります。
 平成16年に管内の2戸に発生した高病原性鶏インフルエンザは終息し、この2戸の農家も現在は経営を再開しています。今後も、職員一同人獣共通伝染病に対する危機管理体制の訓練を行い、迅速な防疫対応に努めたいと考えています。
 さらに消費者に信頼される安全・安心な畜産物の生産のために「畜産物生産ガイドライン」の普及定着、動物用医薬品に対するポジティブリスト制度の遵守、衛生対策の充実にも努めたいと考えておりますので、関係各位のご協力・ご鞭撻をお願いいたします。