このたび、本会新事務所が完成し、新年度と同時に農業災害対策の新たな拠点として再出発できますことは大変光栄であり、また身のひきしまる思いであります。これもひとえに国及び県並びに関係機関の方々のご指導や、共済関係者をはじめとする関係各位のご支援・ご協力の賜物と心から感謝申し上げます。
 新事務所の建設は、時代の変化に的確に対応するとともに21世紀における本県農業発展の一翼を担い、農家を災害から守ることを目的とした農業災害補償制度が充分に機能することをコンセプトに検討してまいりました。
 建設にあたり、既に策定されている「茨城県農業共済組合連合会中長期経営計画」に基づいて、本会の運営方針や各種施策の展開方向等について見直すとともに、これらを確実に実行するための中長期的な視点に立った運営のできる事務所を基本に据えることと致しました。
 これを受け平成15年6月より建設検討会を設置し協議を重ねた結果、多様化する農業経営や農業環境に迅速かつ柔軟に対応し、各施設の集約的かつ効率的な利用及び機能性や環境対策等に重点を置いた新事務所建設が始まり、平成18年6月に着工し19年2月に完成の運びとなりました。
 特に、家畜共済は損害防止事業の拡充を図る観点から家畜検査室を設け、疾病等の早期発見及び治療、飼養管理の改善等を提言できる体制を整え、家畜経営の安定に寄与できるよう施設の充実を図りました。
 NOSAI(農業共済)制度は、昭和22年に施行された「農業災害補償法」に基づき農業災害に対処できるよう損害の補填と災害の未然防止の役割を定めている公的な保険制度で、これまで幾多の改正を行い本年で60年を迎えることとなりました。
 わが国の農業は、毎年のように台風が襲来するなど自然災害や病虫害などさまざまな災害の危険にさらされています。そのため、農家が共済掛金を出し合うとともに国も掛金の半分を負担して共同準備財産を作り、万が一の災害により被害を受けた農家に対し共済金を支払うという相互扶助を精神とした制度となっております。
 また、国が農業共済団体の事業運営に必要な事務費の一部を負担するなど、国の重要な農業災害対策の柱として位置付けられております。災害による損害を適切に補填し農業生産と農家経営の安定に寄与するとともに、さらには農業生産構造の変化や農業を取り巻く情勢の変化に対応し、食糧の安定供給のための農業の持続的な発展のためにも必要な制度です。
 本県の共済事業につきましては、補償総額でおよそ3兆3千億円と全国第2位の事業実績となっております。毎年発生するさまざまな災害に対しても、被害に遭われた農家の方々に毎年約40億円(うち家畜共済:約10億5千万円)の共済金を支払い、被災農家の再生産や地域農業の発展に寄与しております。
 私たちは、新事務所を拠点とし地域農業を支える「NOSAI」としての役割を十分発揮するとともに本県農業の発展に貢献し、農家の皆様方の経営安定にお役に立つようより一層の事業推進に取り組んでまいる所存でございます。
 今後とも、関係各位のなお一層のご支援、ご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。