設立の経緯
 大子町は,繁殖農家約260戸,繁殖雌牛約1,200頭を飼養する県内最大の和牛子牛の生産地ですが,農家の高齢化,後継者難から年々飼養戸数・頭数共に減少傾向にあります。
 そこで新たな発想のもと新しい飼養管理技術を活用した子牛生産の増頭と繁殖農家の所得向上を図ることを目的として,大子町畜産農業協同組合がとりまとめ役となり,県畜産農業協同組合連合会の支援のもと生産者,大子町,畜産センター肉用牛研究所,常陸大宮地域農業改良普及センター,県北地方総合事務所が参画し,平成16年7月に大子町和牛繁殖経営活性化協議会(以下「協議会」という。)が設置されました。
 協議会では,繁殖和牛の増頭方策を検討するとともに,増頭に向けた取り組みとして,省力管理技術の実証・導入と,自給飼料の増産を推進しています。 特に,耕作放棄地を活用した「簡易放牧技術」の普及を重点的に推進してきました。

これまでに取り組んだ内容と成果
 耕作放棄地等に安価な電気牧柵を設置して平成16年度から簡易放牧に取り組んできました。
 また,県北地域の農業改革重点推進集団として,いばらき農業元気アップチャレンジ事業の活用などにより,牛捕獲のための放牧場と一体となった連動スタンチョン付き牛舎の実証展示や,耕種農家が所有する耕作放棄地への放牧などを行っています。  これまでの取り組みにより,畜産農家だけでなく耕種農家においても,耕作放棄地の解消や景観維持,見通しが良くなることによるイノシシの農作物への被害の減少など,放牧による様々な効果が地域住民や和牛繁殖経営に理解されつつあり,表にあるとおり放牧場の設置場所,面積ともに年々拡大しています。

 その結果,数年来続いていた繁殖和牛頭数も減少傾向から頭数の維持増加(2頭)に転じています。
 表 耕作放棄地等利用放牧場設置の推移

今後の取り組みについて
 耕作放棄地放牧の継続実施と新たな放牧用地の確保,さらに安定的,継続的な飼料利用のためシバ型牧草であるセンチピードグラスの播種を試験的に行うなど放牧実施後の集約的な利用についても検討しています。
 また,耕種農家と連携した稲わら収集など,粗飼料生産と供給組織の確立に向けた取り組みも開始しています。
 さらに,増頭に向けた取り組みの一つとして,群飼育時等における事故防止を目的とした除角の普及を推進するため,除角器の導入を今年度計画しています。
 今年度の先進地視察研修の結果をふまえて,子牛育成労力の軽減と,繁殖成績の向上に効果が期待されている哺乳ロボットの導入について,補助事業の活用を含めて継続検討しています。
 大子町の和牛繁殖経営を活性化させるには,いかにして中核となる多頭飼育経営体を育成し,小規模経営体の維持存続を図るかが大きな課題であり,耕作放棄地での牛放牧利用は飼料費や牛管理労力の低減,運動による牛の健康増進,繁殖成績の向上などの様々な効果があります。簡易放牧技術については常陸大宮市にある畜産センター肉用牛研究所が指導しておりますので,酪農家も含めて新たな人の繁殖和牛経営への参入が期待されます。