畜産センター,(独)畜産草地研究所及び茨城大学農学部は,機能性に富む成分を多く含む納豆やカンショ皮を養鶏用飼料として利用し,飼養成績の向上や,高付加価値の畜産物生産を目的とした共同研究を実施しました。研究は,平成16〜18年度に「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」により実施しましたが,有用な成果を上げることができたので,成果の実用化を促進するため,共同研究機関が共催し,12月6日に水戸市のレイクビュー水戸において成果発表会と研究成果により生産された鶏肉及び卵の試食会を開催しました。
 成果発表会には養鶏業,流通,飼料製造,マスコミ関係等から約100名の参加があり,はじめに研究を担当した畜産センター養鶏研究室の藤原技師,畜産草地研究所の山崎企画チーム長,茨城大学農学部の宮口助教授から成果の発表を行いました。
 成果の概要を後段に記載しましたが,おおむね,肉用鶏や採卵鶏の飼料に納豆やカンショ皮を配合することにより飼養成績を低下させることなく,生産物のうま味や機能性物質を向上させることができるという内容で,出席者は特色のある鶏卵や鶏肉を生産する技術として関心を示し,原料の調整方法やコストなどについて質問がありました。また,発表会終了後に,自分の農場でこの技術の実用化を検討してみたいと,関係者に問い合わせをしている生産者も見受けられました。
 成果発表会に引き続いて,「納豆を給与した筑波地鶏」と「納豆を給与して生産した低コレステロール卵」を使った料理の試食会を開催しました。料理は12品目で,参加者は全ての料理についてひとつひとつ味を確認していましたが,おいしいとの意見が多く聞かれました。また,「納豆を給与した筑波地鶏」を塩焼きにし,「食べごたえ」,「ジューシーさ」,「うま味」,「味の強さ」,「風味」,「総合的な評価」について,評点をアンケート用紙に記入してもらったところ,「ジューシーさ」以外の項目については,75%以上の方が平均以上の評点を付けていました。
 最後に,この研究成果が実用化され,茨城県養鶏の発展に貢献できることを願っています。
〔研究成果〕(成果発表会資料から引用)
1 納豆及びカンショ皮の調整
 納豆は60℃で60時間,カンショ皮は60℃で48時間乾燥した後粉砕して供試しました。成分は表1のとおりです。
表1 乾燥納豆及びカンショ皮の成分  %
2 納豆の給与が肉用鶏及び鶏肉に及ぼす影響
 筑波地鶏を供試し,初生から80日齢まで飼料に納豆を0,1,2%配合して給与する区を設け飼養成績等を検討しました。その結果,納豆を配合することにより,発育等の飼養成績に差は見られませんでしたが,盲腸内総嫌気性細菌数が増加し,血漿中のトリグリセライド(TG),総コレステロール(T-cho),TBARS値(抗酸化の指標)が低下して,健康的に発育したことが推定されました。また,鶏肉中の遊離グルタミン酸(呈味成分)量が増加し,肉のうま味が増したものと思われます。

3 納豆の給与が産卵鶏及び卵に及ぼす影響
産卵鶏に166日齢から13週間,飼料に納豆を0,1,2,3%配合して給与する区を設け飼養成績等を検討しました。その結果,産卵成績に差はありませんでしたが,納豆を配合することにより盲腸内総嫌気性細菌数が増加する傾向でした。血液性状には影響は見られませんでした。また,卵黄中のコレステロールが約20%減少しました。

4 カンショ皮の給与が肉用鶏及び鶏肉に及ぼす影響
 筑波地鶏を供試し,初生から80日齢まで飼料にカンショ皮を0,1,2%配合して給与する区とカンショ皮と納豆をそれぞれ1%ずつ配合する区を設け飼養成績等を検討しました。その結果,雌はカンショ皮1%混合区で発育成績が向上し,血漿中のグルコース濃度が低下する傾向が見られました。また,カンショ皮配合により雌の盲腸内総嫌気性菌数,乳酸菌数が増加する傾向が見られました。さらに,鶏肉の保水性が大きく改善され,肉の風味の向上が図られました。

5 カンショ皮の給与が産卵鶏及び卵に及ぼす影響
 産卵鶏に229日齢から13週間,飼料にカンショ皮を0,1,2,3%配合して給与する区とカンショ皮と納豆をそれぞれ1%ずつ配合する区を設け飼養成績等を検討しました。カンショ皮を配合することにより,産卵成績はやや低下する傾向でしたが,盲腸内乳酸菌数が増加し,盲腸内のアンモニア態窒素濃度が低下する傾向が認められました。また,卵黄中のβ−カロテン量が増加する傾向でした。

「図 卵黄中のコレステロール含量に及ぼす納豆給与の影響」
(茨城大学 宮口)