アルボウイルスとは(節足動物媒介ウイルス)蚊・ヌカカなどにより媒介され,脊椎動物に伝搬するウイルスの総称です。
 なかでも,牛に異常産を引き起こす6疾病(アカバネ病,アイノウイルス感染症,チュウザン病,イバラキ病,牛流行熱,ブルータングウイルス)については,流行を事前に把握するために,県内50農場をモニタリング農場とし,これらの農場の牛を定期的に採血して抗体検査を実施しています。
 この調査は全国的に実施されていますが,昨年は本県における調査の中で,ブルータングの抗体陽性牛が確認され,流行があったことが推察されました。
 今回,その調査内容と近年の発生状況について紹介します。 
調査内容
検査項目 :アカバネ病,アイノウイルス感染症,チュウザン病,イバラキ病,牛流行熱及びブルータングの抗体調査
調査時期 :6月下旬,8月中旬,9月下旬,11月中旬(年4回)
対象農家 :県内31市町村, 50戸,100頭
対 象 牛 :H17.11月からH18.4月生まれの未越夏牛をおとり牛とし,定点観測
近年の発生状況
 いずれの疾病も九州地方を中心とした西日本での発生が多く,周期的な流行を繰り返しています。アカバネ病は毎年発生が確認されていますが,1998年には全国的に流行し,本県においても流産・死産・奇形などの被害がありました(図1)。

図1:全国の発生状況(監視伝染病発生報告より)
 また,アイノウイルス感染症およびチュウザン病はアカバネ病と同様の症状を示し,周期的な発生が認められています。
 イバラキ病の主な症状は嚥下障害ですが,1997年の発生には死流産も確認されています。近年の発生は確認されていません。
 牛流行熱は2002年と2004年に沖縄県で発生が確認されています。発熱が主な症状で,妊娠牛が感染すると流産することもあります。
 ブルータングは1994年に北関東地方の牛及び緬羊で初めて発生し,2001年にも栃木県の緬羊で発生が確認されました。本県においても2001年、2003年及び2005年11月におとり牛の抗体陽性が認められたことからその流行が示唆されました(図2)。  
調査時期検査戸数
(陽性戸数)
検査頭数
(陽性頭数)
2001年11月中旬40(3)86(5)
2001年12月69(23)150(31)
2003年11月中旬47(3)96(3)
2005年12月中旬51(17)102(29)
図2:本県におけるブルータング抗体陽性事例

 緬羊では舌潰瘍,死産などの症状を示し,子羊では30%が死亡することがありますが,牛や山羊の多くは不顕性感染(症状がなく,抗体陽性のみ)です。しかし,1994年には嚥下障害が認められた発症牛も確認されていることから注意が必要です。

予防対策
 アカバネ病,アイノウイルス感染症,チュウザン病,イバラキ病及び牛流行熱についてはワクチンがありますので,ウイルスを媒介する蚊やヌカカ等が発生する前(5〜6月頃)にワクチンを接種することで予防できます。  一方,ブルータングについてはワクチンがありませんので,殺虫剤等の散布で蚊やヌカカ等の駆除をし,感染の機会を少なくすることが重要です。 なお,死流産などの異常産や嚥下障害などの症状が認められた場合は,最寄りの獣医師または家畜保健衛生所までご連絡お願いします。