7月28日(金)茨城町中央公民館において、茨城県常陸牛振興協会主催による肉用牛講演会が開催されました。常陸牛の銘柄確立に向けた取り組みの一つとして、生産面の向上を目的に、県内各地から約80名の指定生産者及び関係者が出席しました。
 演題を「消費者が選ぶ銘柄牛」として、腰塚源一先生(株式会社コシヅカ 代表取締役社長)を
講師に迎え、約1時間の講演が行われました。腰塚先生は芝浦(東京食肉市場)の買参業者として多くの銘柄牛を扱い、特に常陸牛のファンである立場として講演されました。講演の主な内容は、次のとおりです。

講演する腰塚先生


受講者
・芝浦で常陸牛の評価が高いのは、これまでの出荷団体の努力によるもの。人のつながりは大切。
・行政・農協団体・商系が一本にまとまり、量・質とも安定させることが重要。
・(枝肉から骨・脂を除く)歩留りの良い牛が、いわゆる「金の上がる牛」である。
・消費者(買参人)の立場として、「力のある牛」、「損のしない牛」を多く作ってほしい。
・「力のある牛」とは、モモ抜けが良く、バラが厚く、ロース等の上級部位の構成比率が高い枝肉。
・BSE以降、全国的に早出し出荷の傾向が強くなっている。
・できあがっていない若い牛(肥育期間の短い牛)は、モモ抜けが悪く、肉質も水っぽい。
・不飽和脂肪酸が変化するのは27〜29ヶ月と言われている。その点からも月齢は重要であり、少しでも長く飼育して出荷した方が良い物ができる。
・美味しさの「要件」は「脂質」。脂は、ロウソクのような真っ白な物はダメで、薄クリーム色で粘りがあって緩くなく、つや・照りがある物が良い。
・荒ザシの肉は、食べたときに脂が口に残るので良くない。細かい脂が良い。
・グルタミン酸やイノシン酸等の旨みの成分は、赤身にある。
・水っぽい牛より乾いた牛が良い。水っぽい牛は長くおくと重量が減る。乾いた牛は日持ちがする。
・美味しさの「条件」は、食べる時の「場所」。店の雰囲気、温度・湿度、におい、肉の量等が、ポイントになる。
・これからの「求められる牛肉」とは、本当においしい牛肉や、BMSbP2のような最高の霜降り肉。
・これからの「売れる牛肉」とは、業者が求める消費者ニーズにあった牛肉。消費が多い30代後半〜40代の人が、ほどほどの値段でおいしく食べられる牛肉。4等級上〜5等級クラスで、「力のある牛」「月齢の経った牛」。
・10〜15年前の外食産業ではステーキ・すき焼きの専門店が多かったため、大きな牛は好まれなかった。現在は、焼肉・しゃぶしゃぶ・鉄板ステーキが増加し、大きな牛でも良くなった。
・家庭で牛肉をおいしく焼くコツは、常温に戻してから焼くこと。肉はすぐに焼けるが、脂が焼きにくいため、食べる30分〜1時間前には冷蔵庫から出しておく。
 講演会の後には、各銘柄牛の試食会が開催されました。試食に用意された牛肉は、常陸牛・松阪牛・佐賀牛・福島牛の4銘柄で、部位はウチモモで統一し、焼肉で比較しました。参加者には、銘柄を知らせずA〜Dとしてそれぞれの味見をしてもらい、一番おいしいと感じた牛肉を回答いただきました。また、この試食会には生産関係者以外に、キリンビール関係の一般モニターも加わりま
した。結果は次のとおりですが、今回は常陸牛が一番おいしいという評価を得られました。

モニターによる試食会
 これからの牛肉は、サシ(霜降り)だけでなく、美味しさ・うまみもテーマになると思われます。今後も、各種講習会・勉強会が有意義に行われるよう、本会でも協力してまいります。