去る3月29〜30日、つくば市のホテルグランド東雲において第36回関東甲信越酪農青年女性会議の酪農発表大会が開催されました。
 この大会は、各県の酪農青年女性会議が推薦する優秀な酪農家の酪農経営の成果を発表し、酪農経営の合理化、近代化を推進し、生産性の高い安定的経営を確立し、国際競争力を強め国民経済の発展に資することを目的として、各県の代表者が発表いたしました。
 発表会は経営発表の部と意見・体験発表の部の二部門から構成されており、本県では美野里町の藤枝英明さんが経営発表の部で発表され審査の結果、最優秀賞を受賞されました。
 審査講評では、農林水産省関東農政局山本洋一審査委員長から経営の特徴としては、フリーストール方式の、大規模かつ効率的な経営を実践されているが、そうした中でも、経営がアバウトになることなく牛群検定・乳牛改良の実施、細霧システム等の飼養・衛生管理の改善・個体ごとの飼料の分離給与等による乳牛の能力向上に努められている。
こうした、努力の結果、施設等の減価償却、雇用労賃等の高コスト部分のハンデを克服し、労働力1人当りの年間所得について、今回の発表事例の中では最も高い水準を達成しており、今後の酪農を考える上でのモデルとなる素晴らしい経営を実践されている。また、自給飼料生産についても、美野里酪農協のコントラクター事業を活用し、効率的な自給飼料生産を実践されている。今後とも効率的な飼養管理の可能な牛舎、大規模経営、地域のコントラクター事業といった恵まれた条件を生かし、更なる効率的な経営の確立、発展を期待しますと講評されました。

受賞者(敬称略)
経営発表の部
 最優秀賞 茨城県酪農青年女性会議
                 藤枝英明

意見・体験発表の部
 最優秀賞 群馬県酪農青年女性会議
        連絡協議会 茂木利子

 なお、最優秀賞に受賞されました藤枝英明さんと茂木利子さんは7月20〜21日の第36回全国酪農青年女性酪農発表大会に出場することになりました。


1. 経営の概要
 @ 家族と労働の構成
  ・本人36歳経営全般  ・妻41歳 家事、育児  ・長男2歳
  ・父66歳堆肥処理  ・母62歳経営全般  ・常雇(給餌、搾乳)


 A 経営の推移
 我が家の酪農経営は、昭和10年に祖父が乳牛2頭を導入し酪農が始まりました。
 当時は水田と畑作の複合経営でしたが高校卒業 後徐々に頭数を増やしました。昭和50年代は30頭、60年代は35頭をつなぎ飼いでの経営でありました。私は大学卒業をした平成4年に就農しました。平成5年には100頭のフリーストール牛舎を建設し、25頭購入し70頭の搾乳となりました。現在は経産牛120頭、未経産牛・育成牛で70頭の管理をしています。個体平均乳量が9,600で年間乳量は1,000tの生産をしています。

2.経営の特徴

 @ 牛群検定
 牛群検定は、両親の代から始まり、約30年以上続けています。全頭加入しており現在は検定開始より500頭を越えています。乳量、乳成分、繁殖の状況などを把握することでき個体管理に役立てています。牛群検定なくして我が家の経営は考えられなくなっています。

 A 登録事業
 自家生産牛は全頭登録を行っています。登録することにより近親交配を排除した種雄牛の選定や、ファミリーの形成に役立てています。

 B 乳牛の改良
 種雄牛の選定は、分娩難易度の低く信頼度、乳器、肢蹄の得点の高い輸入精液を選定し、改良に努めています。
 また、年に1、2度ほど組合の基礎牛制度などを活用し、北海道のゴールデンセールによる高品質牛を導入しファミリーの形成を目指しています。

 C 体型審査
 10年ほど前から審査を受けて、受審することにより牛の良点や改善点を数字的に理解でき、また自分の見る目も養えるので牛群の改良に役立て、その高得点牛などは組合や県などの共進会に出品しています。

 D 自給飼料生産とコントラクター制度
 美野里町酪農組合は、昭和38年の組合設立当初よりコントラクター事業に取り組んできました。現在4条刈りの自走式ハーベスターを2台保有しています。我々組合員はトウモロコシ・ソルゴー混播の圃場を年間延300haの刈り取りを組合へ委託しています。

 私の牧場は、圃場が700m四方と牛舎近くにまとまっているため、夏の1番刈りの時は13haを約1日半(約20時間)程で終了しています。料金的にも10a当り7千円ほどであり、スタックサイロ鎮圧覆土のために同時に依頼する土建会社の重機代や資材を含めて10a当り8千円程の費用となっています。これは組合員の7〜8割の割合となっています。また、私自信も2年前まではオペレーターとして作業に出勤していましたが、現在は学生や季節的に労働力となってくれる社会人が作業の大半を担ってくれているため、酪農家は夏季の大変な収穫作業から開放されます。コントラクター事業は私にとって欠かせない存在となっています。

3.経営の改善
 @ 暑熱対策
 3年前に細霧システムを導入しました。これにより牛のストレスを和らげ夏場の繁殖、環境向上に役立っています。

 A 分娩後の疾病予防
 分娩後に起立不能や第四胃変位などの発生が見れることがあります。対策としてカルシウムや強肝剤、ビタミン類の飼料添加物を補給するようにしました。以後ほぼ発生がみられなくなった上に分娩後の回復が早くなり、ピーク乳量までの到達が改善されました。

 B 堆肥処理
 以前は民家から離れた畑で野積みし、切り換えをして飼料畑に還元していましたが、平成14年度より資源循環型農業推進総合対策事業で、醗酵処理施設と堆肥保管所を建設し牛舎から出る糞尿を全量処理し、自家飼料畑に肥料として散布しています。また、少量ですが果樹や畑作農家に販売し、昨年は50万円程の利益を上げています。

4.今後の経営方針
 現在の酪農情勢の不透明性から急激な規模拡大は難しいと思われますので、現状を最低限維持し購入をせず、自家生産牛の中から安定的に生産を増していきたいと思います。また、地域の農家の後継者不足から飼料畑の借入れや購入は容易であると考えられますので、今同様、自給飼料を生産し土地利用型を進めて行きたいと思います。規模拡大に当っては過剰労働にならないように、組合ヘルパーを計画的に利用し家族との余暇を楽しみながら、施設や機械等の質の向上を図り体型の改善を優先に総頭数を増やして行きたいと考えています。