昨年11〜12月に、茨城県中央食肉公社及び東京食肉市場において、多くの肉用牛枝肉共進会等が開催されました。茨城県では、現在「常陸牛」のブランドアップに取り組んでおりますが、その結果からもレベルの高さがはっきりと証明されております。本会が関係する主な共進会の成績を振り返りながら、「常陸牛」の進むべき方向性や課題について考えてみたいと思います。
(1)第46回関東肉牛枝肉共進会…11月16日(金)、東京食肉市場にて開催
  関東1都6県の参加で、合計50頭の和牛により枝肉共進会が開催されました。茨城県からの出品牛7頭は全て常陸牛(A−5が6頭・A−4が1頭)となり、うち3頭が入賞し、団体優勝となりました。荷揃いの良さは他県と比較にならないほどであり大変注目を集めました。特に、播田実一美氏の出品牛は惜
しくもトップを逃し優秀賞1席となりましたが、枝肉単価 3,121円という、すばらしい枝肉でありました。本県の入賞者は、次のとおりです。

播田実一美氏出品枝肉
(2)平成17年度全畜連肉用牛枝肉共進会…11月24日(木)、東京食肉市場にて開催
  全国畜産農業協同組合連合会主催、農林水産祭参加の全国レベルの枝肉共進会において、本会直営牧場(肉用牛振興研修農場)の出品牛が、最優秀賞(農林水産大臣賞・東京都知事賞)を受賞しました。本県の出品牛としても、8頭中7頭がA−5の常陸牛、うち4頭が入賞するという見事な成績でした。

研修農場出品枝肉
(3)第49回茨城県肉用牛共進会…12月1日(木)、茨城県中央食肉公社にて開催
  本会・全農・家畜商の3団体により、計101頭の和牛が出品されました。多くの買参人が集まり、注目度が高かったことからも、常陸牛のブランドアップが着実に進んでいることがわかりました。枝肉単価でも名誉賞の4,156円を始めとし、2,500円を超えた牛が18頭(うち2,700円超は10頭)もおり、他県の銘柄牛に追いつく気配が出始めました。

亀山幸一氏出品枝肉
(4)最後に
  茨城県の和牛肥育技術が高いことは、以前から食肉市場や関係業者の間では有名でありました。また、一般消費者に知名度が低いという弱点から、茨城県産和牛が様々な銘柄牛に枝分かれし、常陸牛となる物量(頭数)が少なかったことも事実です。しかし、最近ではブランドアップに向けた効果が出始め、急速に知名度が向上してきております。常陸牛としての価格反映は、今後さらに良くなるものと思われますが、知名度アップ
以外にも@出荷頭数の増加、A品質の向上、B他銘柄との明確な差別化、の3点が大切になるのではないでしょうか。本会では、AからBへの取り組みとして、給与飼料の情報開示を始めました。一般消費者の牛肉に対する関心が高まり始めた今こそ、「生産者+飼養管理」を開示することが、他の銘柄牛より一歩進んだ取り組みになると考えます。茨城県内の優秀な肥育農家が切磋琢磨し合いながら、全国一の和牛銘柄県となれるよう頑張りましょう。