1 はじめに
 県では銘柄畜産物のブランド力向上を牽引役とする本県畜産物全体の振興を図っていくため、平成16年度から「いばらき畜産物ブランドアップ対策事業」により、関係団体等と連携を図りながら、常陸牛を中心として販売指定店の拡大、販売促進キャンペーンの開催、各種メディアを活用した情報発信、生産情報の公開及び生産基盤の強化等に幅広く取り組んでおります。
 この取り組みの一環として、昨年度各銘柄関係者並びに流通・販売関係者等からなる「いばらき畜産物ブランドアップ推進委員会」(委員長:茨城県畜産協会 矢口長彦専務理事)を設置し、銘柄畜産物の流通販売状況や流通販売業者からの評価、県内消費者の持つイメージや認知度(県政世論調査)、他銘柄の推進状況等の様々な情報を収集、分析し、各銘柄のブランド力向上に向けた現状課題、基本方向、目標数値、推進方策等について議論を重ねてまいりました。
 この検討結果をうけて、平成17年3月に「いばらき畜産物ブランドアップ推進プラン」を策定しましたので、その概要を紹介します。

2 プランの概要
(1)基本的な方向
 推進プランの基本的な方向としては、茨城農業改革大綱に基づいて策定された「いばらき農産物マーケティング構想」を踏まえ、「消費者の視点に立った販売戦略」を展開することとし、各銘柄ごとに下記の方向で推進することしました。
@常陸牛は首都圏等の消費者に認められるトップブランドを目指したブランド戦略の推進、販売力強化や生産情報の公開等による信頼性の向上。
Aローズポークは消費者からのニーズに応えられる品質の均一化や生産基盤の充実を図るとともに知名度の向上や地産地消の推進。
Bいばらき地鶏はいばらき地鶏振興協会の活動を通じた各団体が連携したPR。それぞれの流通形態に対応した販売戦略の構築、販路拡大。
(2)推進方法と推進体制
 本プランで示した目標を達成していくため、下記の点に留意して推進することとしました。
@販売ターゲットの明確化とそれらに対応した販売戦略については、各銘柄団体を構成する生産者や団体等が主体となって議論を深め、消費者ニーズに対応した戦略を構築する。
A販売戦略の推進にあたっては、ブランドの位置づけや役割、活用方法(ブランド戦略)を明確化し、行動計画に基づいて取り組むとともに、これらが着実に推進されているかどうか定期的な評価分析を行う。
(3)目標水準や推進方策
 各銘柄の具体的な目標水準や推進方策を取り組むにあたっての基本方向は下記のとおりです。
@常陸牛
【目標水準】

【推進方策の基本方向】
他銘柄に負けないトップブランドとして、大消費地における知名度向上を目指して販売戦略を展開する。
(ブランド戦略の一環として)「常陸牛=茨城」という産地イメージが重要であることから、県民に愛着を持って消費してもらえるよう推進する。
他銘柄との差別化を図るため、生産段階の基準等を設定するとともに、生産技術の高位平準化等を図る。
市場での販売力や信用力を高めるため、協会が中心となった推進体制の強化や生産情報の公開に取り組む。
Aローズポーク
【目標水準】

【推進方策の基本方向】
量販店や飲食店・レストラン等を積極的に取り込むなど、販売指定店の拡大に重点をおく。
ローズポークの美味しさを子供達に知って貰うため、学校給食での活用を促進する。
生産技術指導の強化を図るとともに、消費者ニーズに応えられる高品質で斉一性の高い豚肉を供給する。
Bいばらき地鶏
【目標水準】

【推進方策の基本方向】
いばらき地鶏振興協会の活動を通じて、イメージアップやPR、新規生産者の確保を推進する。
量販店や飲食店、消費者団体等の幅広い相手との契約取引など、それぞれの販売戦略に応じた販路を拡大する。
生産情報の公開や品質の向上・安定化に取り組み、より付加価値の高いブランドとして実需者との信頼関係を構築する。

3 今後のとりくみ
 本年度については本プランで示された基本的な方向や推進方策に基づき、各銘柄の販売戦略が着実に推進されるよう、関係団体・機関等で構成する協議会を設置し、生産から消費までの情報交換を行うとともに、目標の達成状況や取り組みの成果、今後の施策展開等について検討を行うなど、ブランドアップに向けた取り組みを支援してまいります。
 さらに、引き続きブランドアップ事業を推進するとともに、常陸牛については今年度から新たに「常陸牛販売強化支援事業」により、常陸牛振興協会に専従の販売促進員を設置して流通業者等への積極的な売り込みや販売店に対する販売サポート、販売情報の生産者へのフィードバックなど、協会を中心とした常陸牛の販売促進活動を強化することとしています。
 今後は生産者や関係者が主体となって、生産から消費までの情報を把握し、販売、消費を起点とした一貫した販売戦略の中でモノづくりや販促活動を進めていくことが必要となっております。本プランに基づく関係者の議論や取り組みが一層活発化するとともに、本県畜産物全体の牽引役となる銘柄畜産物のブランド戦略の推進が期待されております。