現在、茨城県では県銘柄牛「常陸牛」のブランド化及びその販路拡大を県当局・関係団体・関係機関の協力の下、常陸牛振興協会を中心に逐次進めているところです。そこで、常陸牛をはじめ茨城県で肥育された牛(和牛)の肉質について、全国でいったいどのくらいのレベルにあるか日本格付協会の格付資料よりまとめてみましたので、ごらん頂きたいと思います(表)。
 まず枝肉重量ですが、463.5kgと栃木県についで2番目と非常に優秀な成績です。肝心の肉質についてですが、格付AB−5率は、23.7%と宮城県についで第4位、上物率(AB−4・5率)についても59.1%と佐賀県と同率で第4位、霜降りの度合いをみるBMSNo.でも5.9と同じく第4位で枝肉重量及び肉質とも全国で5本の指に入る優秀な成績であることがわかると思います。
 これは茨城県の肥育農家のレベルが各人非常に高く、またそのような農家が茨城県下に数多く存在しているという裏付けでもあります。また、日々の努力の積み重ねと長年にわたって受け継がれてきた肥育技術の高さや茨城県特有の肥育に適した気候風土などが成績を押し上げている大きな要因ではないかと思われます。
 今後、常陸牛のブランド化を進めていく上では、まず良質でボリューウムのある枝肉を継続して作れるかという事が非常にハードルの高い問題でしたが、このハードルは現時点ですでに軽くクリアしているものと思われます。良質の枝肉生産ができるということになれば、今後はそれらの牛肉について、買参人や小売店・消費者等にいかにPRをしていくかという事になります。
 常陸牛をはじめとする茨城県産牛をPRしていこうとする時に、買参人や販売店とのやりとりの中で、枝肉を出荷するうえで特に重要なポイントがわかってきました。どのような事かと申しますと、買参人の方々は枝肉を見るプロですから当然、枝肉の体型、枝肉の切開面等を見ながら価格を決めていますが、近年特に多く目につくようになったのが、切開面とモモ抜けなどが極端に違う早期出荷の枝肉だそうです。銘柄牛は通常出荷の枝肉と違って、きちんとした管理がされており肥育期間もきちんと肥育されたものが出荷されているだろう、ということで購入するとまったく仕上がっていない銘柄牛が多いということです。この事が銘柄牛の評価を左右する肉の風味、脂の質の差がでる大きな要因の一つになっているというのです。
 常陸牛ではそのような話はあまり聞かない方ですが、ブランド化していく上できちんとした肥育期間をかけて出荷するということは、常陸牛のブランド化を推進していく上で、今後の評価に大きく影響を及ぼす重要な問題であると認識しております。もちろん経営上、暮れの相場の良い時期等に早期出荷することも戦略として必要となりますが、通常はきちんと仕上がった牛を出荷するという基本理念が必要になってきます。
 その他、肉を販売する側の問題も指摘されているところです。これは茨城県全体にいえる事ですが、小売店やスーパーに陳列されている牛肉の産地が茨城県産ではない他県産の牛肉が結構見受けられるということです。やはり、県内の小売の国産牛であれば常陸牛を始め茨城県産の牛肉が店頭に並ぶのが理想の形といえるような気がします。
 この問題は牛肉を消費する消費者の意識の問題でもあります。平成15年の家計調査によりますと、全国の県庁所在地における1世帯当たりの牛肉の購入量及び支出金額は西高東低の傾向にあり、和歌山市が不動の1位を維持し、水戸市は下位の42位とかなり平均を下回っております。このあたりの問題を解決しなければなかなか小売店の問題は解決しないような気がします。
 最後に、全国の銘柄牛がいったいどのくらいあるのかということですが、平成14年調査では東京都を除く46道府県に189種類あるそうです。その後もう少し増えているのではないかと思いますが、茨城県だけでも常陸牛のほか紬牛、山方牛、花園牛、紫峰牛の5種類もあります。今後、常陸牛のブランド化を進めていく上で以上の実態を把握し、各生産者や行政・関係団体が自信を持って常陸牛の銘柄推進を図っていけば、近い将来常陸牛ブランドが必ず確立されることと確信しております。