1.制度改正について
 農業社会において、これまで安定した生産型農業から消費者主導の品質型農業へ、そして地域環境型農業を含めて大きく変貌するなかで、画一的であった農災法が緩慢ではあるが、農家のニーズに応えられるように制度改正が施行されてきた。
 今年度の改正では、乳用種用の授精後240日以後の(胎児及び出生子牛)も補償される子牛等共済が追加されたことで、乳用牛・肉用牛・種豚・肉豚すべての家畜種類について共済加入が可能となった。

また、多様化した飼養形態の中で事故多発農家が年々固定化されている傾向に加え、平成13年9月にBSE発生以降、事故の共済金支払いの比率が上昇していることから、農家間の不公平の是正を図る目的で、死廃事故共済金支払限度(家畜共済の料率地域及び家畜種類の単位に一定の限度を設け、限度を超す通常の事故を農家負担とする。)が新たに設けられた。
2.事故低減に向けて損防事業の強化
 今後、厳しい畜産情勢のなか共済事業としての果たす役割は、不慮の事故に対する充分な補償はもちろん、獣医師等関係者との連携を図り、一層の事故低減に努め、事業運営基盤の強化に取り組む必要があり、組合員の安定した畜産経営を維持するようにサポート的な活動が国を挙げて求められている。
 一般的に家畜の事故は、主に自然災害による被害を対象とする他の共済事業と異なり、飼養管理の技術能力等の人為的な失宜による原因が大部分を占めているのが現状である。そこで、以前より事故多発農家について飼養管理指導(主に給与飼料計算等による指導)を実施してきた。しかし、より適正な飼養管理に対する意識を再認識させる必要性があり、現状の飼養状況における多角的より詳細なデーターを根拠として検討することが、事故低減対策の指導手段として重要なポイントだと考えます。
 また、多くの検査項目を必要とする場合は、検査委託費を予算化し、特に、原因不明な事故が多発する農家対策としては、群単位毎に数十頭から採血し、体内代謝における生理機能検査データーの傾向を把握することにより、農家全体の飼養状況を読み取ることが出来るプロファイルテストの実施、或は 乳房炎等の事故多発農家に対しては、全頭PL乳汁検査を実施、その中で陽性患畜を対象に細菌の種類を検索する同定検査、そして農家診療獣医師の補間的な検査として、細菌がどの抗菌製剤に効果があ

るかを検索する感受性検査等を行うことにより、搾乳衛生、畜舎環境等の問題点を具体的に検討、その他給与飼料計算、飼料及び地下水の成分分析等、農家の事故状況による検査データーを基礎に、臨床獣医と共に多角的に事故原因の分析、追究(治療を含む)を実施しています。  家畜損防課は、上記のことを踏まえて平成12年度から事故低減対策予算を計上し、個体を中心とした予防診断的な血液検査を行うための携帯用簡易測定機を導入した。一般的には、畜舎内(現場)で体内の状態のデーターが表示され、その場で分析解明できることによる現地指導を実施している。
今後も国の事業である特定損害防止事業と各県固有の一般損害防止事業を組み合わせて実施することにより相乗効果のある事業活動にしていきたいと考えております。  さらに、農家の飼養管理状況データを作成することによって、具体的なボディコンディション、繁殖等の管理をし易くすることから、要請のあった農家を対象に情報を継続して提供している。また、損害防止の指導を条件として、事故除外に加入する農家も増えていることから、畜産農家の“必要とするものは何か”を見極め、可能な限り要望に沿った損害防止活動を行うことで、付加価値を高めた保険として推進を図って行きたいと考えています。

 「畜産協会コーナー」
平成16年度養豚講演会の開催について
 平成17年1月27日(木)午後1時30分より、茨城町のJA全農いばらき農業機械総合センターにおいて、独立行政法人動物衛生研究所疫学研究部の小林秀樹先生をお招きし、「豚の呼吸器病の現状と対策について」の講演会を開催します。
 参加対象は指定獣医師、養豚農家、市町村及び県の畜産関係者となっています。多数の参加をお待ちします。
   お問い合わせ рO29−225−6697(担当 本多)