平成6年に造成が完了したランドレース種系統豚「ローズL−2」は、現在、茨城県系統豚供給センターで維持・増殖されており、本県の銘柄豚肉である「ローズポーク」をはじめとする高品質豚肉生産の基礎豚として広く利用されています。
 「ローズL−2」は、長期間の維持により年々近交係数が上昇し、平成22年頃には維持の限界(造成完了後概ね17年程度)を迎えることが予想されるため、茨城県畜産センター養豚研究所では、平成15年度から、「ローズL−2」の後継系統の造成を開始しました。
 平成15、16年度には基礎豚を選定、導入し、平成17年度からは1年で1世代更新を繰り返し、平成22年度には造成が完了する予定です。
 系統造成は、まず、改良目標を設定し、基礎集団を選定することから始まります。
1.改良目標
 改良目標は次の通りです。
1)1日平均増体重(DG)は900g(体重30kg 〜105kg)
2)背脂肪の厚さ(BF)は1.6cm(体重105kg到達時の体長の1/2部位)
3)腹脂肪は締まりがあること
4)1腹平均生産子数は10頭
5)乳器は並び、形がよく、不正がないこと
6)肢蹄は強健であること
2.基礎豚の選定
 優れた系統豚を造成するには、能力の高い基礎豚を選定することが重要なポイントになります。
 今回の基礎豚の選定基準は次の通りです。
1)血統登録が明確であること
2)オーエスキー病抗体陰性であること
3)乳器は、乳頭が鮮明で、配列が良く、不正が 無く、左右7対以上であること
4)肢蹄が強健で歩様がよいこと
 そして、これまでに、選定基準に見合った神奈川県の系統豚ユメカナエル(雄1頭、雌5頭)、千葉県の系統豚ボウソウL2(雌5頭)、熊本県の系統豚ヒゴサカエ302(雄1頭、雌5頭)、宮崎県の系統造成途中世代豚(雄1頭、雌5頭)、岩手県の系統豚イワテハヤチネL2(雄1頭、雌5頭)、福島県の系統豚フクシマL2(雄1頭、雌5頭)、山形県の系統豚(雄2頭、雌5頭)の計雄7頭、雌35頭を導入しました。
3.基礎豚の能力・特徴
 導入した基礎豚の能力と特徴は次の通りです。
1)神奈川県の「ユメカナエル」は、産子数が多く、 泌乳能力が高く、子豚の発育がよい系統です。 また、強健性を判断する指標の一つである管囲が 太いのが特徴です。

ユメカナエル♂
2)千葉県の「ボウソウL2」は、体型は、 中躯から後躯にかけて充実し、乳器が鮮明です。
3)熊本県の「ヒゴサカエ302」は、
産子数が多く(11.1頭)、発育が早く、肢蹄が強健です。

ヒゴサカエ302♂
4)宮崎県の系統造成途中世代豚は、父がアメリカからの輸入豚です。

宮崎県♂

5)岩手県の「イワテハヤチネL2」は、産肉性が国内トップクラスの成績(1日平均増体重939g、ロース断面積40.3u)であり、肢蹄も強健です。

イワテハヤチネL2♂

6)福島県の「フクシマL2」は、産肉性に優れ、産子数(11.2頭)も多い系統です。

フクシマL2♂

7)山形県の系統豚は、産子数が多く(11.3頭)、肢蹄が強健です。
 このほかに、アメリカ産凍結精液を6頭分(60本)輸入しており造成に活用します。
 今回の系統造成の基礎豚は、改良目標に即して選定し、特に繁殖性、強健性に富んだ各県の系統豚を中心に導入しました。
 平成15、16年度の2年がかりで導入した基礎豚を用いていよいよ系統造成が始まります。系統造成はただ単に系統を作ることが最終目的ではありません。
 系統造成の最終目的は、完成した系統が適正に利用され斉一性のある高品質な豚肉を効率よく生産することであります。
 県内の養豚農家の皆様から広く利用していただける系統を作っていきたいと考えております。
 
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