県内における稲発酵粗飼料の生産・利用の急速な拡大に鑑み、飼料用トウモロコシに準じて稲発酵粗飼料のTDN含量推定式の作成を試みた。
1.トウモロコシサイレージのTDN含量推定式
 飼料用トウモロコシについては、ホールクロップサイレージのTDN含量を材料の雌穂割合から推定する新得方式が広く使われていた。その後、いくつかの推定式が提案されたが、その一つである改良新得方式は下のとおりである。
乾物中TDN含量(%)=56+0.26×乾雌穂重割合(%)
2.稲発酵粗飼料のTDN含量推定式
 上式は実測値に基づいて作成されたものであるが、結果として雌穂及び茎葉のTDN含量がそれぞれ一定であることを示している。これに従えば、飼料成分表のモミとワラのTDN含量から稲発酵粗飼料のTDN含量の推定が可能である。
[モミのTDN含量] 飼料成分表のモミ、モミ殻、玄米のTDN含量からモミとモミ殻の乾物重比は100:20と推定される。なお、TDN含量76.8%のモミは精モミと考えられ、稲発酵粗飼料では不稔モミを考慮する必要がある。不稔モミとモミ殻を同一とみなし、精モミと不稔モミの粒数比を80:20と仮定すれば、乾物重比は80:4、不稔モミを含むモミのTDN含量は74%と算出される。
[ワラのTDN含量] 飼料成分表の生稲ワラサイレージの四捨五入値43%を採用する。
[稲発酵粗飼料のTDN含量推定式] 上記のモミとワラのTDN含量から、稲発酵粗飼料のTDN含量推定式は次のように表わされる。
乾物中TDN含量(%)=43+0.31×乾モミ重割合(%)
イネの部位別TDN含量(乾物中%)
モミ:76.8  モミ殻:14.0  玄米:94.3
生稲ワラサイレージ 42.9
日本飼料成分表(2001)