平成16年11月1日から「家畜排泄物の管理の適正化に及び利用の促進に関する法律」に基づく管理基準が完全に施行され、野積み・素堀りが禁止されます。
 多額の投資が困難な場合や、たい肥の需要が少ない時期等に一時的にたい肥舎が不足する場合には、低コストで設置できる簡易型処理施設が有効で、大別すると次の2つに分類できます。
@ たい肥の底部・上部とも防水シートで覆う。
A コンクリート製たい肥盤の上にたい肥を置き、上部を防水シートで覆う。
 @は最も低コストで設置できるという利点がありますが、たい肥から出た排汁で底部がぬかるなどの問題があります。Aの方法は前者よりも設置費用は高くなりますが、繰り返し使用可能でダンプ・ローダーでの作業が円滑に進むという利点があります。水戸市が設置した底部をコンクリート製たい肥盤にした簡易型たい肥化施設の設置事例を費用、改善案等を含めて紹介します。
1 事業名 平成15年度バイオマス利活用フロンティア推進事業
2 事業主体 水戸市
3 実証展示場所 水戸市河和田 小豆沢牧場地内(酪農経営)
4 実証展示内容
上部 たい肥用被覆シート
 ・暴風対策:たい肥用シートの上にハウス用ネ
ット(網目30p角)をかけ、古タイヤで重しをする(注1)。
底部 コンクリート製たい肥盤
 ・排汁溝及び配水管の設置:配管がつまらないように、排汁溝にモミガラを敷いた(注2)。
 ・排汁枡の設置:コンクリート製ため枡、底部をコンクリートでふさぐ(注3)。
5 設置費用
被覆シート(材質PP)
太平興業製6m×20m×@370円/u=44千円
コンクリートたい肥盤
コンクリート厚10p・砕石厚10p・
ワイヤーメッシュ80u×@3,820円/u=305千円
計 349千円
6 実施結果及び改善案
(1)たい肥用被覆シート
雨水浸入及び臭気もれはなかった。
作業人員1名でも、シートの取り扱いは可能。
ハウス用ネットは、古タイヤのみよりも暴風対策効果があった。
(2)たい肥化処理及び堆肥の成分等
投入糞:モミガラを添加し、乾燥ハウスで水分75%に調整した乳牛糞
切返し:堆積期間中1回
成分分析結果                   (乾物換算表)

投入時 たい積後(160日)
水分 75.1% 67.4%
窒素 2.1% 2.0%
りん酸(P2O5 2.7% 3.9%
カリ(K2O) 2.7% 3.9%
C/N比 18.5 14.6

 発酵・たい肥化は確認されたが、表面のたい 肥が塊状になりやすかった。
7 コンクリート製たい肥盤の改善案
2tダンプで糞尿の搬入を行う場合、たい肥盤の脇へ糞がこぼれ出るのをさけるため、幅5m以上での設置が望ましい(注4)。
雨水の浸入を防ぐため、たい肥盤の端まで排  汁溝を設置しない(注5)。

 上記の結果や切り返し作業の繁雑さを考慮すると、本施設は一次発酵させたたい肥の追熟・保管施設、または自家利用目的のたい肥製造施設として利用することをお薦めします。
 設置者の敷地条件や予算に応じて、たい肥盤に側壁を設けることもご検討ください。
 なお、問い合わせ等は水戸市農政課でお受けします。
水戸市役所рO29−224−1111(代)。