日本農林規格(JAS規格)は、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(通称JAS法)に基づいて定められた飲食料品や林産物などの製品の基準です。
 JAS規格を満たしていることが確認(格付)された製品には、JASマークを付けることができます。
 JASマークが付いていれば、その製品が一定の品質をもっていることが分かります。JASマ ークを基準に、消費者が製品を選んだり、事業者が製品の取引を行うことができます。
 JAS規格には、原材料や色つやなどの品質の基準である一般JASと作り方についての基準である特定JASがあります。有機農産物のJAS規格や生産情報公表のJAS規格は特定JASの一つです。
 現在国では、有機畜産物等のJAS規格の制定(有機畜産物のJAS規格、有機農産物飼料の日本農林規格及び有機加工飼料のJAS規格の制定案並びに有機農産物加工食品のJAS規格の改正案)を検討しています。これまで有機畜産物については、明確な規格がありませんでしたが、新たなJAS規格として制定されることとなります。
有機畜産物についての規格の制定案の概要
(1)有機畜産の生産の原則
農業の自然循環機能の維持増進を図るため、有機飼料(薬剤等に頼らず有機栽培された飼料のこと)を給与すること及び動物用医薬品の使用を避けることを基本として、生理学的及び行動学的要求を尊重して飼育された家畜又は家きんより生産されること。
(2)生産方法の基準
 1.飼養施設の条件  畜舎及び家きん舎は、生理学的及び行動学的要求を尊重した構造であること。  野外の飼育場は、農薬及び化学肥料が原則2年以上使用されていないこと。
 2.飼養の対象となる家畜又は家きん
 原則として、誕生又は孵化の時からと畜の時まで有機飼育されていること。
 例外として、新規に有機畜産を始めるとき、家畜又は家きんの更新の場合等に限り、若齢であること等一定の条件の下で非有機家畜を飼養の対象とすることができること。ただし、一定期間以上有機飼育されない限り有機畜産物として出荷することはできないこと。
 3.飼料の給与
 有機飼料を給与すること。
 当初5年の経過期間に限り非有機飼料を一部使用することができること。ただし、遺伝子組換え体や抗生物質を含まないこと。
 4.一般管理
 原則として、野外の飼育場への自由な出入りが確保されていること。
 家畜又は家きんの安全又は健康の確保、家畜の識別、外科的去勢以外の目的で、家畜又は家きんを故意に傷つけないこと。
 5.健康管理
 適切な飼養管理により疾病予防に努めること。
動物用生物学的製剤(ワクチン等)と駆虫薬以外の動物用医薬品の予防目的での使用は禁止のこと。
 治療目的で動物用医薬品を使用した場合には、定められた期間の2倍又は48時間以上の期間をおいて搾乳、と殺又は採卵すること。
 6.解体、選別、調製、洗浄、貯蔵、包装その他の工程に係る管理生産された有機畜産物が、薬剤等により汚染されないよう、分別管理が適正に行われていること。
 国ではこれまで農林物資規格調査会部会で原案を作成し、パブリックコメントを実施いたしました。今後は再度部会に諮られた後、告示し、今年度中には制定される運びとなっています。  詳しくは下記の農林水産省ホームページをご覧下さい。 http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/jasindex.htm