カビ(真菌)が産生する有毒な化学物質をカビ毒(マイコトキシン)といいます。
 家畜の飼料には、Aspergillus(コウジカビ)、Penicillium(アオカビ)、Fusarium(アカカビ)やケカビなどの真菌が常在しています。
 これらのカビの中には適当な条件下で増殖してカビ毒を産生し飼料を汚染するものがあります。
 こうした飼料中のカビ毒が原因と思われる家畜の異常が海外だけでなく、国内でも報告され、高温多湿な時期は特に注意が必要です。
 おもなカビ毒と、その毒性は次の通りです。
Fusarium(アカカビ)が産生するもの
・トリコテセン(デオキシニバレノール、T−2トキシン
         など)…嘔吐、下痢、食欲低下、貧血
         、免疫機能障害
・フモニシン…肝臓障害、肺水腫(豚)、脳軟化(馬)
・ゼアラレノン…流産、外陰部肥大(発情ホルモン様
         作用)
Aspergillus(コウジカビ)が産生するもの
 ・アフラトキシン…肝臓障害、肝がん、出血性腸炎、免疫機能
           低下
 ・オクラトキシン…腎臓障害、肝臓障害
Penicillium(アオカビ)が産生するもの
 ・オクラトキシン …(上記)
 ・パツリン …けいれん、出血性下痢
 残念ながらカビ毒によって家畜がどの程度被害を受けているかについて、体系だった全国調査結果がまだありません。
 これは他の伝染性疾病、運動器病、代謝病や繁殖障害などの被害の方が大きいこと、カビ毒に関する知見が乏しく、飼料中のカビ毒量などもこれまで十分に調べられていないためと思われます。
 しかし、カビ毒のうち発がん性が極めて高いアフラトキシンの畜産物中への移行を危惧する調査報告等もあり、食の安全を求める声が高まる中、今後はカビ毒についての調査検討も必要と考えられます。

(参考)「飼料安全法」による飼料中のカビ毒規制
マイコトキシン名 規 制 対 象 許容基準(ppm)
アフラトキシB1 配合飼料(牛、豚、鶏及びうずら用)
配合飼料(ほ乳期子牛、乳用牛、ほ乳期子豚、幼すう及び
ブロイラー前期用)
0.02

0.01
ゼアラレノン 飼料中(家畜用) 1.0
デオキシニバレノール 飼料中(生後3ヶ月以上の牛用)
飼料中(上記以外の家畜用)
4.0
1.0