本県の銘柄畜産物は、食肉市場等の流通段階での評価は高いものの、消費段階では他県の有名銘柄に比べても、あまり知名度が高いとは言えない状況にあります。
 近年、消費者の食品に対する安心や安全に対する関心が高まっているなかで、食品表示の適正化や消費者への産地情報及び生産情報の提供等の取り組みが進んでおります。これらの結果、産地間競争が一層激しくなっており、消費者の視点に立った販売戦略の展開がますます重要となっております。
 このため、県では本県の銘柄畜産物のイメージアップや認知度の向上、並びに消費拡大を目指し、銘柄畜産物の品質の良さを積極的に消費者にPRするとともに、販売店等の拡大や販売促進キャンペーンの展開、さらに生産情報の提供等を通して販売力の強化やブランド力向上に取り組むため、本年度から「いばらき畜産物ブランドアップ事業」を展開することとしました。

「本県の銘柄畜産物に対する評価」
 事業を実施するにあたって、平成15年度に実需者や生産者を対象とした本県銘柄畜産物に対するアンケート調査を行いました。
○常陸牛
 販売店、仲卸業者、生産者を対象に調査を行った結果、販売店や仲卸業者からは「肉質的」には全国的に知名度の高い有名銘柄にも全く引けをとらない、といった意見が多かったものの「知名度」の点では全国の銘柄と比較するとトップクラスとは言えず、その下のランクという意見が多数を占めました。
 また、常陸牛の販売戦略上、不足しているものについては販売店の5割以上、仲卸業者の6割以 上が「宣伝広告」と答えており、生産者の5割以上が「知名度」との回答でした。
○ローズポーク
 販売店や生産者を対象に調査を行った結果、販売店、生産者ともに「肉質的」には8割以上が良い、やや良いと答えており、不足していると思われるものについては、販売店、生産者ともに一番にあげているのが「宣伝広告」という回答でした。
○奥久慈しゃも
 奥久慈しゃもについては「肉質的」には販売店の全て、生産者の9割が「良い」と回答しており、不足しているものについては、販売店は「安さ」、生産者は「宣伝広告」を一番にあげていました。
「いばらき畜産物ブランドアップ事業の概要」
 これらの調査結果から、本県の銘柄畜産物は品質的には高いレベルにあるものの、今後さらに銘柄畜産物の振興を図るためには、本県銘柄畜産物の販路を拡大するとともにブランドイメージを向上させ、より多くの消費者に知ってもらうことが重要であり、その結果、市場からのニーズが高まって取引価格のアップや生産振興にもつながるものと考えられることから、本事業では、特に常陸牛に施策を重点化させ、販路拡大や消費者へのPR及び情報提供等の対策を講じることとしております。
○常陸牛販路拡大事業
予算額4,683千円
 常陸牛の販路拡大を図るため、県内及び首都圏における量販店、専門店、飲食店等の販売店の拡大を図ります。常陸牛の販売店数を平成15年の173店舗から、平成22年に300店舗に拡大することを目標とし、量販店や専門店及び飲食店等とタイアップした一体的なキャンペーンを実施するとともに、販売店を紹介するマップの作成・配布、大型看板設置、各種広報メディアを活用した宣伝活動を実施します。
○推進事業
予算額290千円
 いばらき畜産物全体のイメージアップを図るため、常陸牛、ローズポーク、いばらき地鶏等を牽引役としてブランド力の向上を目指すための県の「推進プラン」を策定し、各銘柄の販売戦略づくりを促進します。
○生産情報公開システム確立事業
予算額2,308千円
・常陸牛
 牛個体識別全国データベースと連携した飼養管理情報提供システムに参加して、常陸牛に関する飼料給与履歴や生産者情報等の付加価値情報をインターネットを活用して消費者へ提供するとともに、それらの生産履歴情報を店頭で実証展示し、常陸牛に対する消費者の理解促進、信頼や安心感の向上を図ります。
・ローズポーク
 ローズポーク指定生産者における飼料給与履歴等の付加価値情報を消費者に提供するシステムについて検討を進めてまいります。
○情報発信事業
予算額1,673千円
 常陸牛を取り扱う販売店で実施する販促キャンペーン等と連携して消費者等を参集し、産地との交流会を開催したり、インターネットを活用した銘柄畜産物の宣伝活動を実施します。

 実需者からの評価と信頼を獲得して消費を拡大し本県畜産の一層の振興を図っていくためには、生産、流通等の関係団体や行政が一体となって、本事業の他、各種施策に積極的に取り組んでいく必要があることから、関係各位の特段のご協力をお願いいたします。