養豚基礎調査結果について@家族経営と後継者についてA雇用労力の利用状況、糞尿処理場所等について取り上げてきたが、今回は糞尿処理施設の設置状況等について報告する。 ふん尿の処理方法 ふん尿の固液分離を畜舎構造により行うものや、畜舎から持ち出した後に固液分離機により行う等の固液分離を行っている農場が162戸、固液分離をしていない農場が161戸とほぼ同数であった。 ただ、未記入のものが133戸と非常に多い、この中にはオガコ豚舎のように固液分離を必要にしない場合も含まれると考えられるが、それにしても多いと考えられる。
ふん尿処理施設の設置状況 各経営者が行っているふん尿処理について主な処理方法を1つ回答してもらう方式で行った。 固形物の処理法では、堆肥舎が170件で最も多く、堆肥舎に通気装置を据付けたり自動攪拌装置を設けたものが90件で堆肥化施設の有るものが260件であった。調査に協力をいただいた456件に対し57%、この項目に記入があった362件に対し71.8%が行っていた。野積み(堆肥盤を含む)が64件、未記入が94件あった。 液状物の処理方法では貯留施設を有するものが133件(全体の21.9%、記入ありに対し48%)であった。浄化処理施設を利用しているものは56件(全体の12.3%)であった。 その他が13件であり、未記入が179件と最も多い、これらの中には飼養規模が100頭未満の経営体も有ると考えられるが、固形物の野積み・液状物の素掘処理と同様「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」に係る「管理基準」に抵触するものが多数有ると推察される。
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堆肥の利用状況 この項目に記入があった366件において、自家農地に施肥が41.3%、無料配布が28.4件でこの2つで69.7%を占めていた。販売は25.7%であり、養豚において販売可能な良質堆肥を造る難しさが現れていると考えられる。
耕種農家が望む堆肥の特性としては、一般の農家ではすぐに使える完熟堆肥、特に豚糞堆肥では臭気が問題であり十分醗酵させた、悪臭の少ないものが望まれている。養分含量表示(常に一定の品質)、取り扱いやすく、塩類濃度の低いものが望まれている。 養豚経営者が堆肥利用促進のために行っていることについて複数回答で記入して頂いた。記入有戸数299戸(360件)で、次表に掲げる取り組みを行っている経営体の割合を示した。 耕種農家等まで運搬(62.5%)堆肥の散布サービス(12%)と多かった。特に行わないと回答したものが22.4%で、多くの経営者が堆肥利用促進について努力している現状が示されている。 耕種農家からは堆肥の散布サービスや成分分析に対する要望が増加すると考えられる。 また、今回の調査では個人経営者でインターネットによる情報を発信しているものは皆無であった。第一段階としては個人のホームページによる情報発信より、公共団体や畜産関係団体等が中心になった情報提供を充実する必要性が高いと考えられる。
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