1.特定JASとは
 JAS法とは、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和25年法律第175号)」のことで、この法律を基に定められている規格が、日本農林規格(Japanese Agricultural Standard)と呼ばれ、制度全体を表す言葉として通称JASと呼ばれています。
 また、個々の農林物資については、JAS規格と呼ばれ、地鶏肉については、「地鶏肉の日本農林規格」が定められております。
 従来のJAS規格は、成分や使用原材料、内容量等の品質全般にわたる規格で、生産方法や表示内容などの「統一的な基準」がなかったために表示等が不明確でありました。
 地鶏肉については、先に述べました「地鶏肉の日本農林規格」及び「生産行程についての検査方法」・「生産行程管理者の認定の技術的基準」・「小分け業者の認定の技術的基準」が定められ地鶏の定義や生産方法についての基準や、品質に関する表示の基準が出来ました。
 特定JASとは、生産の方法についての基準を内容とする特別な生産や製造方法、特色ある原材料に着目したものの規格を「特定JAS規格」と呼び、作り方の保証マークとして、成熟ハム・ソーセージ・ベーコン・有機農産物及び有機農産物加工食品・そして、地鶏肉も「特定JAS」となり、これにより、基準に添った地鶏肉生産の状況や格付状況の記録の確認が分かるとともに、自らが生産した地鶏肉について、責任をもって、特定JASマークを貼り、販売出来るものです。
2.登録認定機関(第三者機関)とは
 この特定JASの認定を行うのが、第三者機関として、農林水産大臣より認可を受けた登録認定機関=(社)茨城県畜産協会であり、地鶏肉に関する現在の登録認定機関は、全国で8機関あります。
 当畜産協会は、平成14年7月12日付けで、全国4番目となる「登録認定機関」となり、業務を行っている所です。
 認定業務の内容は、「生産行程管理者」と「小分け業者」の2種についての認定業務を行います。
<特定JAS認定の流れ>



 「生産行程管理者」とは、それぞれの、ほ場ごとの生産行程を管理、又は把握するとともに、各種規程類に基づいて、その記録類を作成するもので、生産業者(農家)や生産農家のグループ(組合等)の販売業者が、生産行程管理者として、認定を受けることが出来るものです。
 認定後は、それぞれの内部規程に基づき、自らが格付し、特定JASマークを付しての販売が出来るようになります。
 具体的には、素びなの出生・受入から生産農家での飼養管理・地鶏の出荷・食鳥処理場での処理(大きな部分肉に分け、それらを格付し、他の鶏と区別、保管)し、販売するまでが生産行程管理者で出来る過程であり、生産段階から処理場までの一連の過程で地鶏肉生産が出来なければ認定することは出来ません。
 次に「小分け業者」とは、有機農産物及び加工食品や地鶏肉の小分けを管理するもので、地鶏肉で言えば、生産行程管理者により格付された地鶏肉(特定JASマークを付した地鶏肉)を、更に小分けし、パック詰めなどの商品に特定JASマークを貼る(再表示)ことが出来ることとなり、小売業者や流通業者などが流通させ小売するなど特定JASの格付された地鶏肉を小分けした単位で再び表示し直す場合は、小分け業者にならなければなりません。
3.県内の認定状況について
 認定については、地鶏の名称そのものを認定するものではなく、特色ある原材料を用いて行う地鶏肉の生産過程等について、登録認定機関が認定を行うものであります。
 県内においては、平成15年9月1日付けで書類を受理し(生産行程管理者2業者・小分け業者2業者)審査員により申請書類の審査及び現地の実地調査を行い、更に判定員による最終判定を行い、平成15年10月20日付けで認定をいたしました。

「写真は、実地調査時の鶏舎」
 先ほども述べましたが、認定するものは、地鶏そのものの認定ではなく「生産行程管理者」の認定、「小分け業者」の認定となり、それらの業者等が生産する農林物資の種類として定義されているのが、「地鶏肉」となります。
 今回認定を行った認定生産行程管理者は、八郷町農業協同組合・(有)共栄ファームで、認定小分け業者として、八郷町農業協同組合・(有)茨城内外食品の認定いたしました。
 認定業者が生産・販売を行う地鶏肉の名称としては、八郷町農業協同組合の、『やさとしゃも(別称:北浦しゃも)』と『筑波地鶏』、(有)共栄ファーム・(有)茨城内外食品の『筑波地鶏』で、今後は、認定業者により、特定JASマークの付いた地鶏肉が生産・販売されてまいります。

「写真は、実地調査時の食鳥処理」
4.認定後の対応について
 認定後は「認定生産行程管理者」「認定小分け業者」を対象に、毎年現地確認調査を行い、JASの基準を適正に実施しているか確認するとともに、第三者機関である当畜産協会も、(独)農林水産消費技術センターによる監査を毎年受けるチェック体制となっています。
 そうした管理体制が「安全で安心な地鶏肉」として、消費者へアピールするとともに、生産者側の自覚も向上するものと期待いたします。
5.畜産物のJAS規格について
 畜産物のJASとして、最初に「特定JASの地鶏肉」でありましたが、牛肉についても、平成15年12月施行の「生産情報公開牛肉のJAS規格」ができ、新たに、飼料給餌(エサ)及び動物用医薬品の投与情報の公開が求められ、更なる食の安全に対する情報の公開が求められております。
 豚についても、次年度に「生産情報公開豚肉のJAS規格」が定められることとなっており、ますますJASに求められる期待は大きいものとなっています。
 JAS規格は、任意のものでありますが、JASを通じて、消費者が商品を選ぶ上での基準としての役割もあり、基準に添った適正な生産物として、消費者への理解を求めるPRが出来ればと考えております。