先頃、西茨城郡岩間町の茨城県農業総合センターに於いて平成14年度のたい肥利用促進協議会が開催され、当協議会の目的である良質たい肥の生産及び流通・利用の促進を実現している、山梨県中巨摩郡敷島町の有限会社 小林牧場の小林輝男氏(肉用牛経営)を迎え講演を頂いた。 講演の内容は次の通りであった。 地域の概要 甲府盆地を流れる荒川は、敷島町地区内で2つに分かれ、右に逆にのぼれば御岳昇仙峡、左は亀沢川となって昇仙峡に向かう。 当地は、敷島町の中心部からおよそ16kmの山の中にあり、標高1,000mの高地である。交通は中央自動車道・甲府昭和インターから車で40分の所に位置している。 牧場景観が良いということで最近別荘地として開け、害虫の発生や臭気等の苦情が起きるようになり、畜産を取り巻く環境が厳しくなってきた。 肥育経営の概要(交雑種) 労働力 家族2人 雇用8人 常時飼養頭数 1,300頭 年間出荷頭数 650頭 肥育開始時日齢 50日 肥育開始時体重 65kg 肥育牛出荷月齢 24ヶ月齢 肥育牛出荷体重 700kg 法人組織の内容
設立目的 (1) 肉用牛の肥育、販売 (2) 堆肥の生産、販売 (3) 牧場の経営 事業内容 (2) 安全、安心、美味をモットーとした直販(宅配)システムの確立 (3) 耕種農場と結合した堆肥の生産・販売 |
小林輝男氏の講演内容(断片集) ◎大きな影響力を与えてくれるのは他産業の人達である。考えに行き詰まった時、他産業の人達と話すのは有効であり、ただ新宿駅で人の流れを見ているだけでも、考え方、発想の転換ができ、解決策が浮かぶので良く新宿に出てくる。 ◎技術の高いだけでは経営につながらない面がある、肥育の名人と言われる人でも数年で消えていく人を何人も見てきた。コスト的な経営感覚が必要である。 ◎地域の産業から出る豆腐粕・ワイン粕(ブドウ粕)・酒粕を牛に飼料として活用し、家畜糞尿を堆肥化し農地へ循環させる地域における循環型農業に取り組んでいる。 ◎粕を使用しても美味しい肉が生産できることを示すために、当地域がワインの生産地である事からワインビーフの名を付けたのが銘柄牛肉「甲州ワインビーフ」生産の始まりである。 ◎農場のハエ発生防止対策としてハエの蛆のみを餌とする寄生ハチを牛舎の中に吊り下げて置く、農場全体で5,000羽入りを6袋設置してある。蜂は週1回業者から送られてくる。 設置場所はハエの発生しやすい場所(育成牛・ふん尿処理施設)に重点的に配置してある。 蛆を集め検査した、蛆の約10%が蜂の影響を受けていなかった。 ◎戻し堆肥の敷き料使用は8ヶ月齢以上の肥育牛舎に使用している ◎たい肥を作るノウハウが無かった 農家の望む堆肥を作るには如何するのか、泉農園と合同でたい堆肥センターを作った。 結論として堆肥は使用する側の立場で生産することが重要である。 投入40日で臭いの少ない堆肥となる。堆積高が低いと冬の温度維持が難しいのでスクープ式攪拌機を利用した開放式堆肥舎とした。 2次発酵は1.0〜1.5ケ月堆積発酵を行う。 1日20tの生糞を入れ、50〜60%の堆肥が出る ◎販売先 50%が耕種農業者、 泉農園関係者(共同経営農場) 50%は地元の果樹、花、野菜生産農家 295円/袋 甲斐有機性資源生産利用組合の概要 当地域では昭和60年代から肉用牛中心の経営が行われ地域の産業からでるワイン用ぶどうの絞り粕、豆腐粕等の未利用資源を飼料化し、コスト低減を図ると共に地域循環農業を進めてきた。 一方、家畜排せつ物は、たい肥として県内の果樹、野菜の有機栽培農家等へ供給してきたが、家畜の飼養頭数の増加により堆肥化施設が不足するようになってきた。また、有機農産物等の生産者ニーズに合った堆肥を作る必要性が生じてきたので畜産農家と野菜農家で組織された。 現在、成牛500頭分の糞尿の処理可能な堆肥処理施設を導入し平成13年6月から堆肥販売を開始した。 |
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経営の推移
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